突板とは?
更新日:9月2日

突板(つきいた)とは
家具や建具、ホテルや店舗の内装などで目にする、美しい天然木の木目。
一見すると一枚の無垢材に見えても、実は「突板(つきいた)」が使われていることがあります。
突板とは、天然木をおよそ0.2〜0.6mm程度の薄さにスライスした木材のことです。
木そのものを薄く切り出しているため、印刷で木目を再現したシートとは異なり、一枚一枚に天然木ならではの色合いや木目の違いがあります。

広島銘木産業(HIROMEI)は、広島県府中市で天然木突板の製造・加工を行っています。
この記事では、突板とはどのような素材なのか、無垢材との違いや製造方法、木目の種類、メリットや注意点まで、実際に突板を扱うメーカーの視点から紹介します。
突板と突板化粧板の違い
「突板」と「突板化粧板」は、同じもののように使われることがありますが、厳密には異なります。
突板は、天然木を薄くスライスした木材そのものです。
その突板を合板やMDFなどの基材の表面に貼り合わせたものが、一般に「突板化粧板」などと呼ばれます。
突板は非常に薄いため、多くの場合は基材と組み合わせ、家具や建具、壁面材、什器などの表面材として使用されます。
表面には本物の天然木を使用しながら、用途に合わせた基材と組み合わせられることが、突板の大きな特徴です。


突板と無垢材は何が違う?
突板も無垢材も、本物の天然木です。
大きな違いは、木をどのような形で使うかにあります。
無垢材は、丸太から切り出した木材そのものを使用します。
一方、突板は天然木を薄くスライスし、合板やMDFなどの基材と組み合わせて使用します。
突板
・天然木を薄くスライスして使用する
・天然木の木目や色合いを楽しめる
・一つの原木から広い面積を取ることができる
・基材と組み合わせることで、大きな面にも使用しやすい
・木目の並べ方によってさまざまな表現ができる
無垢材
・木そのものを厚みのある状態で使用する
・天然木ならではの質感や重量感がある
・削り直しなどができる場合がある
・湿度などによる伸縮、反り、割れが起こることがある
どちらが優れているということではありません。
無垢材には無垢材の良さがあり、突板には突板だからこそできる木の使い方があります。
求めるデザインや用途、寸法、使用環境などによって使い分けられています。
なぜ木を薄くスライスするのか
一本の木が育つまでには、長い年月がかかります。
特に美しい木目を持つ木や、希少な樹種は限られています。
そうした木を厚い板のまま使うだけではなく、薄くスライスすることで、一つの原木からより広い面積に天然木の表情を生かすことができます。
これが突板という技術の大きな特徴です。
「薄い木だから価値が低い」ということではありません。
木をどこから取り、どの方向にスライスし、どの木目を選び、どのように並べるか。
突板は、原木の特徴を見極め、その木が持つ表情を引き出していく素材でもあります。
突板はどうやって作られる?
突板は、単純に木を薄く切れば完成するものではありません。
原木の状態を見極め、木取りを考え、スライスし、
その後も乾燥や選別などさまざまな工程を経て製品になります。
HIROMEIでは、原木から突板になるまで、それぞれの木の状態を確認しながら加工しています。

1.原木を選ぶ
まずは原木を見ます。
同じ樹種でも、木目、色、節、白太の入り方などは一本一本異なります。
完成したときにどのような木目が現れるかを考えながら、原木を見極めます。
2.木取りをする
原木をどの方向から切り出すかによって、現れる木目は大きく変わります。
原木の特徴や最終的に求める木目を考えながら、スライスするための形に加工していきます。


3.木を柔らかくする
樹種や状態に応じて木を加熱し、スライスしやすい状態へ整えます。
木の性質を見ながら条件を調整することも、きれいな突板をつくるうえで重要な工程です。
4.薄くスライスする
整えた木材を、スライサーと呼ばれる機械で一枚ずつ薄くスライスします。
わずかな厚みの違いや木の状態によっても仕上がりが変わるため、木の状態を確認しながら加工します。


5.乾燥・選別する
スライスした突板を乾燥させ、木目や色、品質を確認しながら選別します。
天然木のため、一枚としてまったく同じものはありません。
その違いを見極め、用途に合わせて使い分けていきます。


6.貼り加工をする
選んだ突板を用途に合わせて組み合わせ、合板やMDFなどの基材へ貼ります。
同じ樹種、同じ突板でも、並べ方によって完成したときの印象は大きく変わります。

板目と柾目 ― 切り方で木目は変わる
突板の魅力の一つが、「木目を選べること」です。
代表的な木目には「板目(いため)」と「柾目(まさめ)」があります。

板目
年輪に対して接線方向に近い方向から取ることで、山形や曲線を描くような木目が現れます。
木らしい動きや変化を感じやすく、一枚の中でもさまざまな表情を見ることができます。

柾目
原木の中心方向に近い向きから取ることで、比較的まっすぐ整った木目が現れます。
すっきりとした印象になりやすく、家具や建具、内装など幅広く使用されています。
同じ樹種でも、板目と柾目では印象が大きく異なります。
さらに、突板は木目の並べ方によっても見え方を変えることができます。
突板だからできる木目の表現
突板は、単に天然木を薄くした素材ではありません。
スライスした突板をどのように並べるかによって、木目そのものをデザインすることができます。
左右対称に開くように並べたり、同じ方向へ連続して並べたり、異なる樹種を組み合わせたり。
木がもともと持っている模様を生かしながら、空間や製品に合わせて木目を構成することができます。
突板のメリット
天然木そのものの表情を楽しめる
突板の表面は印刷ではなく、本物の木です。
木目や色の揺らぎなど、天然木にしかない表情があります。
木を有効に活用できる
木を薄くスライスすることで、一つの原木からより広い面積に天然木を使用できます。
限りある木材を生かすという点も、突板の大切な特徴です。
大きな面にも天然木を使いやすい
基材と組み合わせることで、家具の扉や壁面など、広い面にも天然木の木目を取り入れやすくなります。
木目を選び、組み合わせることができる
同じ原木から連続して取れた突板を使用したり、木目の向きや配置を変えたりすることで、無垢材とは異なる意匠表現が可能です。
突板を使ううえで知っておきたいこと
突板には多くのメリットがありますが、天然木であること、そして非常に薄い材料であることを理解して使うことが大切です。
◉一枚一枚、木目や色が異なる
天然木のため、同じ樹種でも色や木目には違いがあります。
これは欠点ではなく、天然素材ならではの特徴です。
◉経年によって色が変化する
天然木は、光や時間の経過によって色合いが変化していきます。
樹種によって、その変化の仕方も異なります。
◉深く削ることには向いていない
表面の突板は薄いため、無垢材のように何度も深く削り直すことはできません。
加工や研磨の際には、突板の厚みを考える必要があります。
◉加工技術によって仕上がりが変わる
突板は薄いからこそ、木目の選別、貼り合わせ、接着、研磨、塗装など、それぞれの工程が仕上がりに影響します。
実は身の回りで多く使われている突板
突板は、特別な場所だけで使われている素材ではありません。
高級家具、テーブル、収納家具、住宅の建具、ホテル、店舗、オフィスの内装など、身の回りのさまざまな場所で使われています。
一見すると無垢材のように見えるものにも、突板が使われていることがあります。
それは無垢材の代用品としてだけではありません。
天然木の美しさ、デザインの自由度、寸法や用途への対応、そして木材資源の活用などを総合的に考えたうえで選ばれている素材です。
私たちが突板にこだわる理由

HIROMEIは、創業以来、天然木突板の製造・加工に向き合ってきました。
私たちが大切にしているのは、
「木を最後まで使い切ること」です。
木が育つまでには長い時間が必要です。
その一本の木をできる限り無駄にせず、木目や色、特徴を見極め、それぞれに合った形で生かしていく。
突板は、そのための技術の一つだと考えています。
原木から向き合うものづくり
HIROMEIでは、完成した突板を仕入れて貼るだけではなく、自ら原木の買い付けも行っています。
樹種、木目、色合い、節などを確認しながら原木を選び、その木がどのような表情を持っているのかを考えます。
どんな木にも個性があり、同じものは二つとありません。
原木の段階から向き合うことで、一つ一つの木が持つ特徴をできるだけ生かすことを大切にしています。
「木を成仏させる」という考え方
私たちは、突板づくりを単なる製造技術だとは考えていません。
一本の木が持つ価値を余すことなく活かし、新たな形で未来へつないでいく技術だと考えています。
突板は一本の丸太から何十倍もの面積を生み出すことができます。
それは、木を無駄なく使い切るための知恵でもあります。
木が生きてきた時間を無駄にせず、その美しさを次の世代へ受け継いでいくこと。
私たちはその想いを、
「木を成仏させる」
という言葉で表現しています。
それがHIROMEIのものづくりの原点です。
木目だけではなく「年輪」まで活かす
私たちは、木目だけではなく、
「木が生きてきた時間そのものも活かせないだろうか」
と考えました。
そこで生まれたのが、年輪を意匠として活用する「年輪突板」です。

その技術から生まれたのが、壁面アートブランド 「Radial Square」 です。
一本の木が刻んだ年月を、空間の中で楽しむ。
それもまた、突板だからこそ実現できる表現です。
木を薄くする。木目を選ぶ。木目を並べる。
そして、これまで活用しにくかった部分にも新しい価値を見つける。
突板には、一本の木からさまざまな表情を引き出す可能性があります。
よくある質問
Q. 突板は本物の木ですか?
はい。天然木を薄くスライスした、本物の木です。
木目を印刷したシートとは異なり、一枚一枚の木目や色に天然木ならではの違いがあります。
Q. 突板の厚みはどのくらいですか?
用途や製造方法によって異なりますが、一般的には0.2〜0.6mm程度の薄さに加工されます。
HIROMEIでも、用途に応じてさまざまな突板を扱っています。
Q. 突板とベニヤは同じものですか?
英語の「veneer」は薄い木材を意味し、突板もwood veneerの一種です。
一方、日本では「ベニヤ」という言葉が合板を指す意味で使われることも多いため、突板とは区別して考えた方が分かりやすいでしょう。
Q. 突板と木目シートの違いは?
突板は天然木そのものを薄くした素材です。
木目シートは、木目を印刷した紙や樹脂などを用いて木の表情を再現した素材です。
見た目が似ていても、材料そのものが異なります。
Q. 突板と無垢材では、どちらが良いですか?
どちらが良いというものではなく、用途によって適した素材が異なります。
無垢材には木そのものの厚みや質感があり、突板には天然木を広い面に使用したり、木目を選んで構成したりできる良さがあります。
Q. 板目と柾目は選べますか?
樹種や原木の状態によりますが、板目や柾目など、求める木目に合わせて選定することができます。
同じ樹種でも木取りによって印象が大きく異なるため、用途やデザインに合わせた選択が重要です。
Q. 突板は剥がれることがありますか?
適切な接着、加工、施工が行われ、通常の使用環境で使用されていれば、長期間使用できます。
一方で、使用環境や基材、接着方法などが適切でない場合には、浮きや剥がれにつながることがあります。
Q. 突板は経年変化しますか?
はい。
表面は天然木なので、光や時間の経過によって色合いが変化します。
その変化も天然木を使用する魅力の一つです。
まとめ
突板は、天然木を薄くスライスし、その木が持つ木目や色を生かすための素材です。
単に木を薄くしたものではなく、
どの原木を選ぶか。どの方向から取るか。どの木目を選ぶか。どのように並べるか。
そして、どのように仕上げるか。
それぞれの工程によって、完成したときの表情は大きく変わります。
HIROMEIはこれからも原木と向き合い、一つ一つの木の特徴を見極めながら、天然木だからこそ生まれる表情をものづくりへ生かしていきます。




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